パート・アルバイトで働く方や、その家族にとって毎年悩ましいのが「年収の壁」です。2026年度の税制改正により、所得税がかかり始める年収のボーダーラインが引き上げられました。今回は、何がどう変わったのか、具体的な数字とともに解説します。
「年収の壁」とは
「年収の壁」とは、一定の年収を超えると税金や社会保険料の負担が発生し、手取り収入が急に減ってしまうラインのことです。特にパートで働く方が「扶養の範囲内で働きたい」と考えるときの目安として意識されてきました。
これまでは、所得税がかかり始める年収の目安は103万円でしたが、2025年度・2026年度の税制改正を経て、この壁が引き上げられています。
何が変わったのか
今回の改正では、所得税の計算に使う「基礎控除」と「給与所得控除」の金額が、それぞれ引き上げられました。
- 基礎控除の最大控除額:95万円 → 104万円
- 給与所得控除の最低保障額:65万円 → 74万円
この2つを合計すると、所得税がかかり始める年収、いわゆる「課税最低限」は178万円になります。
つまり、年収178万円までであれば所得税はかからない、という水準まで壁が引き上げられたことになります。
いつから適用されるのか
2026年度税制改正関連法は2026年3月31日に成立しており、2026年分の所得税から適用されます。会社員の方であれば、2026年12月の年末調整で、2025年度分・2026年度分をあわせた改正の効果を実感することになります。
財務省の解説によると、会社にお勤めの方の場合、1人あたり年間で約3万円〜6万円程度の減税になる見込みとされています。
注意したい「手取りの逆転現象」
ここで一つ注意点があります。基礎控除104万円が満額適用されるのは、年収がおおよそ665万円までの方です。この金額の前後では、控除額の段階的な調整の関係で、年収が少し増えただけなのに手取りが減ってしまう「逆転現象」が生じる可能性があると指摘されています。
年収がこのラインに近い方は、単純に「壁が178万円まで広がった」とだけ捉えず、自分の年収帯でどう影響するかを確認しておくと安心です。
パート・アルバイトで働く方への影響
扶養の範囲内で働くことを意識している方にとっては、次のように整理できます。
- 所得税の壁:103万円 → 178万円に拡大
- 社会保険料の壁(いわゆる106万円・130万円の壁):今回の税制改正の対象外で、従来どおり
つまり、「所得税を気にせず働ける年収の上限」は広がりましたが、社会保険料の壁は別に存在するため、扶養から外れるかどうかは社会保険の基準もあわせて確認する必要があります。
まとめ
- 基礎控除が95万円→104万円、給与所得控除の最低保障額が65万円→74万円に引き上げ
- 所得税がかかり始める年収、いわゆる「年収の壁」は178万円に
- 2026年分の所得税から適用され、2026年12月の年末調整で効果を実感
- 年収665万円前後では手取りの逆転現象に注意
- 社会保険料の壁(106万円・130万円)は今回の改正の対象外
働き方や家計の計画を見直すよいタイミングです。ご自身やご家族の年収がどのラインに当てはまるか、一度確認してみてください。