従業員の健康診断を福利厚生費に!

会社は従業員の健康診断費用を「福利厚生費」として経費に計上することができます。
ただし、いくつかの要件があるのでご紹介します。
健康診断実施後に、要件を満たしていなく福利厚生費経費計上が出来ない!ということにならないよう注意しましょう。

原則としては、会社が負担した健康診断費用は”役員・従業員への経済的利益の提供”であり、給与等に該当します。
しかし健康診断が企業に義務付けられていることで、給与課税として扱う必要はなく、福利厚生費としての計上が認められている、という感じです。
もちろんすべての費用が対象ではありません!要件を満たさない場合は福利厚生費にできないので、注意が必要となります。

健康診断を福利厚生費として計上できる要件

① 対象者全員が受診

健康診断の対象者とは、正社員だけではありません。
正社員の週の所定労働時間の 3/4 以上働くパート・アルバイトも含まれますし、さらには週の所定労働時間の 1/2 以上 3/4 未満働くパートタイム労働者に対しても健康診断の実施が望ましいです!
また受診者に差が出ないこともポイント。例えば一部の役員だけに高額な検査OK!など役職などで差が出ないように、全ての従業員に一律の検査を実施することが大切です。
ただし、健康管理の概念から、「〇〇歳以上」など、年齢による区分は問題ありません。年齢で区切って検査項目を調整することはOKです。

② 費用全額は企業から医療機関へ直接支払う

必ず受診者全員の費用を企業が一括して負担してください!支払いも企業から直接医療機関へ行ってください。

③ 常識範囲内の金額であること

健康診断は医療機関によって金額に幅がありますが、おおよそ5,000~15,000円程度です。

少し高額な人間ドックも要件を満たせば福利厚生費に経費計上することが出来る!?

会社が”一般的な健康診断”ではなく、検査項目が多く費用が高い「人間ドック」を実施した場合はどうなるのでしょう?
実は「人間ドック」であっても、一般的な健康診断と同様に要件を満たせば「福利厚生費」として経費計上できます!

国税庁のホームページの中に、以下の具体的な事例が記載されています。
「役員及び使用人全員に春秋2回定期的に健康診断を実施しているほか、成人病予防のため、年齢35歳以上の希望者全てについて2日間の人間ドックによる検診を実施」(引用:国税庁「人間ドックの費用負担」)

上記の場合、国税庁は「一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができ、かつ、検診を受けた者の全てを対象としてその費用を負担する場合には、給与等として課税する必要はありません」としています。
人間ドックでも”常識範囲内の金額”であれば、福利厚生費としての処理ができるということです!
常識範囲内の金額については、難しいところではありますが、明確な基準はありません。
ただ、「2日間の人間ドック」が認められていることから、数万円程度は許容範囲かなと思います。

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