前回のブログで、美容業のオーナーの立場から見たインボイス制度のポイントを記載しました。
今回は業務委託者の立場から見たインボイス制度のポイントを捉えてみましょう。
業務委託契約の年間売上が100万、業務委託報酬歩合が40%の場合
●年間売上100万、業務委託報酬歩合が40%の場合
従来:報酬40万円
●仕入税額控除が取れない免税事業者で、消費税分を請求しない場合(-10%)、
インボイス制度導入後:36万円
(注意:ただし消費税転嫁対策特別措置法で消費税を上乗せした額を支払う契約をしていたにもかかわらず、支払う段階になって消費税の全部や一部を減額する行為は認められません。)
●業務委託者が課税事業者の場合、消費税を支払うため、報酬の消費税額4万円から、自分が支払ったらその他の仕入や経費の仮払消費税分を引いた分を納付するので、概算で-5%。
インボイス制度導入後:38万円
●オーナーと交渉し、業務委託報酬歩合が40%→ 42%に上げてもらうと、
報酬 42万円
導入後免税(-10%):37.8万円
導入後課税(-5%):39.9万円
ざっくりですが上記のような計算になるので、2%以上業務委託報酬の歩合を上げるよう交渉し、かつ消費税課税事業者を選択することにより、導入前とほぼ変わらないといえます。
最も損するのは、交渉もなく、免税事業者のままでいること、と言えます。
前回のブログでも書いたように、業務委託者側よりオーナー側のデメリットのほうが大きい印象にあります。
ですので、課税事業者を選択することは、オーナー側にとっても有利な条件になります。
免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置
インボイス制度導入後は免税事業者からの課税仕入れは仕入税額控除を行うことができませんが、下記期間については経過措置として一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。
・令和5年10月1日~令和8年9月30日まで 仕入税額相当額の80%
・令和8年10月1日~令和11年9月30日まで 仕入税額相当額の50%
最後に
インボイス制度導入は令和5年10月~ですので、まだまだ先の話ではありますが、適格請求書発行事業者の登録申請書提出が令和3年10月1日から開始されます。
課税事業者になって適格請求書発行事業者となる場合や、反対に登録の取り消しをする場合は手続きが煩雑なようですので、迅速に準備を進めていきましょう。