福利厚生費と言ってもあまりピンとこない方や大企業だけの話と思っている事業主の方もいるかもしれません。福利厚生費に含まれるものは多岐にわたりますが、今回は健康診断の費用について考えていきたいと思います。
事業主の方で、健康診断を毎年実施していない方もいるかもしれませんが、健康診断は会社の規模にかかわらず、従業員のうち常時使用する労働者に対して健康診断を受けさせる義務があります。
健康診断の費用を会社が負担するメリットは、かかった費用を経費として計上できることはもちろんですが、福利厚生を充実させることで優秀な人材の確保や社員の健康管理に役立てることができることです。
この健康診断にかかる費用を福利厚生費として負担するためには、一般的に以下の3つの要件を満たす必要があると言われています。
1、全社員を健康診断の対象にすること
2、社員の健康管理を目的としたもので、常識の範囲内の内容・金額であること
3、健康診断にかかった費用を会社から直接診療機関に支払うこと
(社員に金銭を渡して各自で受診した場合は給与になる可能性があります)
1、全社員を健康診断の対象にすること
「福利厚生」とは全員に等しく提供されていなければならないので、全員が対象となっていなければなりません。ただし、対象者を区分してそれに当てはまる人全員を対象としていれば問題ありません。例えば、
・役員や管理職のみを対象 → NG
役員や管理職だけでは「全員に等しく」提供されているとは言えないので経費として認められません。
・30歳以上は全員、また40歳以上は人間ドッグも受診 → OK
健康診断の規定上、年齢で区分して当てはまる人全員を対象とする場合、規定通りであれば経費として認められます。
上記のような場合などには経費として認められる場合とそうでない場合に分かれます。
ぜひ、健康診断の規定を作成してみてはいかがでしょうか。
2、社員の健康管理を目的としたもので、常識の範囲内の内容・金額であること
世間一般に実施されている検診費用であり、著しく高額なものでなければ福利厚生費として認められます。
3、健康診断にかかった費用を会社から直接診療機関に支払うこと
必ずしも会社から直接支払わなければ福利厚生費として認められないというわけではありませんが、一般的にそれが望ましいと言われています。なぜなら、社員に健康診断費として金銭を渡し各自で支払をした場合などには給与とみなされてしまうケースがあるからです。
上記の要件を満たせば基本的に福利厚生費として経費にすることができますが、経費にするのが難しいケースもあります。
経営者や役員には福利厚生という概念がないので、社長一人で会社を運営されている場合や、社長と奥さんの2人だけという場合には福利厚生費として認められるのが難しいと考えられています。
健康診断の費用を福利厚生費としてしっかりと活用したうえで、人材確保などにも役立てることができますので、ぜひ一度検討してみてください。